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前田裕幸氏がゼネコンを切る!
リニア中央新幹線建設工事を巡るゼネコン大手4社の談合事件はこれまでに何度も批判されながら未だに解決されない、日本のゼネコンの談合体質を改めて浮き彫りにするものとなりました。
談合、特に公共事業をめぐる談合は私たちの税金によって行われる工事の代金を、業者の都合によって吊り上げる悪質性から政治に無関心な日本国民からも激しい批判を受ける事件です。
今回の事件に関与した大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設のイメージダウンは確実で長期にわたり有形、無形のダメージを負うのは確実です。
さらに過去の談合事件と、それに対する国民の怒りから現在では談合がバレた場合、国からは談合を行った企業に対して大きなペナルティが課せられます。
罰則は重く、長期にわたる公共工事に対する入札の禁止、最悪の場合は営業停止措置を受ける可能性すらあるのです。
なのにどうしてゼネコンはリスクを負ってまでして談合を行うのでしょうか?
これは建設業界の事情と日本人の国民性が大きく関係しています。
1.国や自治体、政治家が利益の分配を意識している
一般的な業界では同業他社を出し抜いて仕事を独占したり、他社を買収して事業規模を拡大することは大きな有利となります。
しかし建設業界では大手がそうしたサバイバル戦略を行うことは稀で、常に共栄共存を第一に動きます、その理由は建設業界のお得意様である公共事業の性質にあります。
普通国民は公共事業を最低限の質を確保した上で、価格競争してもらい可能な限り安く工事を完了して欲しいと考えます。
公共事業の発注代金は自分が支払う税金から出ているのだから、無駄なく効率的にやって欲しいと考えるのは当然です。
しかし政治家にとって公共事業は安く仕上げるものではありません。
大多数の政治家にとって税金の無駄遣いを減らすことよりも、自分が次の選挙で当選することの方が大切だからです。
ゆえに彼らは公共事業という利権が集票に繋がる形となることを望みます。
そして日本の選挙は「今のところは」金持ちでも貧乏人でも1人が投票できるのは1票なので、集票のためには特定の企業に利益が集中するよりも、複数の企業とより多くの関係者に金が流れるように調整した方が、選挙で有利です。
こうした環境ではいたずらに事業規模を拡大し、人員を2倍にしたところで仕事が2倍任されるようにはなりません。
そんなことをしても社員を養うのに苦労するだけなので、競争に勝ち抜くよりも馴れ合いで利益を得ることを選択してしまうのです。
2.ゼネコンは自分たちが悪いことをしていると思っていない
なぜ平気で悪いことを続けるのかという質問は談合においてはナンセンスです。
なぜなら彼らの多くは談合を悪いことだと思っていないからです。
前述のとおり、現在の建設業界は談合しないよりも談合する方が得をする仕組みになっています。
仮に完全な競争入札ともなれば受注競争は骨身を削った争いとなり、受注獲得の労力は増加し、工事によって得られる利益は低下、業界は疲弊し競争に負けた企業の倒産が相次ぐでしょう。
自分たちはそういう無益な争いを防ぐために談合をしているのだ、談合は必要悪なんだ、そういう意識が談合に関係する人たちの中には確実にあります。
そう、彼らは悪いことをしているどころか、会社と業界の利益のために頑張っていると誇りを抱いてすらいるのです。
悪事を働いている認識があれば反省の心も生まれるでしょうが、その認識がないのならこうした事件が起こっても「次はバレないように注意して頑張ろう」と間違った努力に走るだけです。
3.自分たち抜きで日本の工事は成立しないという自信と驕り
リニア中央新幹線建設工事などの大規模な公共事業には、高い専門性と多くの下請け会社を使いこなす仕切り能力が必要となります。
派遣社員はお前の代わりはいくらでもいると平気で使い捨てされますが大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設クラスの企業が談合したからといって、すぐに切って代わりを見つけるという訳にはいかないのです。
実際に過去に大規模な談合事件を引き起こした大企業の多くは現在も大企業であり続けています。
さらに建設会社は所詮政治家と官僚も自分たちと同じ穴の狢だという考えが頭にあるので、どれだけ記者会見で厳しい言葉が飛び出しても、そんなものはポーズに過ぎず適当な落とし所で片を付けると考えるのです。
当事者の間に談合に対する危機感がなければ、何度事件が起きても再発するのも当然です。
4.発注側も自由競争を望んでいない面がある
そんな馬鹿なと思われるでしょうが、政治家の思惑とは別に自治体が自由競争を望んでいない面は現実に存在します。
なぜなら自由競争下では発注者が求める品質が得られない可能性があるからです。
たとえば大手の清水建設が工事を請け負えば、普通に考えれば過去の清水建設の手がけた工事と同程度のクオリティは期待できます。
では極端に安い入札価格で受注を獲得した無名の企業ではどうでしょう?
リスクを恐れる日本の役人はそれなら高くついても大手の業者でと考えてしまうのです。
最終更新日 2025年7月8日 by kikuch